
『北海道 知床 羅臼岳登山』をピックアップ。
道東の日本百名山をめぐる旅、4日目の最終日は知床半島の最高峰、羅臼岳(らうすだけ)へ。
当初はテント泊を計画していましたが、天候と疲労を考慮し、岩尾別温泉からの日帰りピストンに変更しました。
峰々を見下ろす絶景と、ヒグマの生息地を行く緊張感。
その両方を体験した山行となりました。
本記事では『羅臼岳のコースタイム・難易度・重要な熊対策』について、Youtube動画とともにレポートします。
2025年8月、羅臼岳にてヒグマによる重大な人身事故が発生しました。
これに伴い、北海道警察より「羅臼岳への登山自粛要請」が出ています。
本記事は現地の様子を伝えるものですが、入山を推奨するものではありません。
計画中の方は、必ず最新の警察情報・自治体の情報を確認し、指示に従ってください。
この記事の目次
冒頭に置ける注意書き
私は山が好きです。
そして、山を好きな人たちもある程度は好きでいたいと思っています。
同時にこの山に生きているヒグマもできることなら駆除されてほしくないと強く思っています。
本記事は、羅臼岳の登山に関する情報を「注意喚起・啓蒙」を目的としてまとめたものです。
ヒグマをはじめとする自然リスクについても、過度に煽ることなく、事実ベースで記載しています。
登山の可否や判断は最終的に各自の責任となるため、本記事では特定の行動を推奨・否定する意図はありません。
あらかじめその点をご理解のうえ、お読みください。
羅臼岳登山 岩尾別コースの時間と難易度
【動画あり】熊騒動1時間前に下山。羅臼岳日帰り登山 / ミッチー🏃♂️🏔さんの羅臼岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
私が山行したタイムは「6時間24分(休憩25分) 距離12.8km(ペースは速め)」。
標高差は約1,450mあり、日帰りとしては体力が必要なコースです。
ザックリした登山タイム詳細は以下の通り。
- AM 03:58 ホテル地の涯(木下小屋)スタート
- AM 06:43 羅臼岳キャンプ指定地(羅臼平)
- AM 07:12 羅臼岳山頂(百名山80座目)
- AM 08:18 羅臼平 下山開始
- AM 10:23 ホテル地の涯 下山
※ヒグマとの遭遇リスクを減らすため、見通しの悪い場所での声出し、ゆっくり歩く等を徹底しました。
必須!羅臼岳の熊対策と装備
知床の山は「熊の家にお邪魔する」という意識が必要です。
今回の厳重なヒグマ対策装備は以下の通り。
- 熊スプレー(必須・即座に出せる位置に)
- 熊鈴(2個)
- ホイッスル
- 事前の目撃情報確認
万が一遭遇した際、背を向けずに後ずさりする、首を守るなどのシミュレーションも重要です。
下山時は特に熊対策の気が緩みがちになります。私も実際に入山時より緊張感がなくなっていました。
北海道の山は特に油断しないように気を付けましょう。
登山口「木下小屋」と駐車場事情

羅臼岳登山前に登山口で前日泊。
私が訪れたときはホテル地の涯は臨時休業中で登山者も車を止めることができた。
※ホテルのリニューアルオープンは2027年4月末日予定。

休業中の秘境知床の宿 地の涯
野湯である岩尾別温泉はこんこんと沸いていたので、登山者以外の観光客がちらほら訪れていた。

駐車場。欧米系、アジア系の観光客はどこからの湯の情報を得ているのだろうか?

車中泊の注意喚起。知床エリアは十分注意すべき

駐車場にあるトイレ
ここで重要なのが「電波がない」こと。
登山届の提出や情報収集は、電波が入るエリア(麓)で済ませてから向かいましょう。
登山前に木下小屋で熊情報を確認。

木下小屋まで数分歩き、熊情報を確認する。
なんと私が入山する前々日にヒグマに付きまとわれた人がいたらしい。
これは正直かなり不安に感じた。

ヒグマの目撃情報も多い

登山口からすでに目撃が多い。同じ個体なのかもしれないが…

フードロッカー補修中の情報も。縦走も難しいな
岩尾別温泉で温まる。

騒がしい観光客がいなくなったところで、野湯へ。
更衣室もないので不安になる露天風呂です。
車中泊では隣のおっさんの声がうるさく、あまり寝られなかった。
緊張のスタートと大沢の登り

3時57分、ヘッドライトを点けて登山開始。
まだ薄暗く、寒くもなく暑くもない、北海道にしては蒸し暑いような天候だった。

入山届に記帳。私がこの日最初の登山者だった
ヒグマに警戒し進む。

鬱蒼とした森の中、クワガタを発見して少し和むものの、常に「熊」への警戒心で緊張感が漂う。
小さな赤いアリも多く、そういえば本でヒグマの好物と書かれていたことを思い出す。
「ホッホー!ホッホー!」と叫びながら進む。数百m後ろから熊鈴の音が聞こえる。

頭上にエゾリスもいた。
常に手には熊スプレーを持ち、ゆっくり進む。

こんな小さい熊スプレーじゃ役に立ちそうにないけど、警戒するにこしたことはないんだ。

羅臼岳が遠く感じる

細く足元が悪い登山道
「銀冷水(05:32)」の水場で一息つき、携帯トイレブースを確認。

携帯トイレブース

男性用は裏にある
羅臼平から岩場の急登へ

標高789m、弥三吉水(やさきちみず)は羅臼岳の登山道を開削した木下弥三吉の名前からきているとのことだ。
事前のヒグマ情報ではこのあたりでも熊目撃があったはずだ。
うっそうとした登山道をさらに進んだ。

ハロが見られた。幸運の兆しというが…
羅臼平テント場から岩場を登る

6時40分、羅臼平に到着。常に警戒していたためか、山行があっという間に感じられた。
男女のキャンパーがいた。

テント場にはフードロッカーがある
ここまですれ違った人は2名のみ(テント泊風の中年女性と小太りな中年男性)。

近くで見ると大きな岩山だ

岩山にズーム。これを登るのか
ここから山頂までは、巨岩が積み重なる急登です。

目印をあてに進む
日差しが出てきたので日傘をさして、岩場を慎重に登ります。

登りがいのある岩場です

高度感のある景色だ
羅臼岳山頂!百名山80座目の絶景

07:12、ついに羅臼岳(1,661m)山頂に到着!この日一番乗り。
これで日本百名山80座目を達成。

眼下にはオホーツク海と根室海峡、そして国後島まで見渡せる…はずでしたが、この日は雲海とガスの幻想的な景色。
それでも「知床のてっぺん」に立った感動はひとしおだ。風が気持ちいい。

知床硫黄山方面。縦走したくなるね

先ほど通過したテント場。このあたりもヒグマの居住地なんだよな…
山頂ではトレラン風の男性が足早に登ってきていた(被害者の方ではない)。
高山植物と下山に感じた異変。

山頂からの景色を満喫した後で下山。
岩場ではチングルマ、大沢付近はイワギキョウが咲いていた。

イワギキョウ
下山時はハイカーと多くすれ違った。覚えている限りで50人くらい。
おそらくだが、被害にあわれた方のパーティと急登の岩場で道を譲ったことを記憶している。トレランではなく、登山の恰好であった。
この日トレラン風の恰好をした人は2名くらいだったように思う。

珍しい?イワギキョウ

大沢の鹿。
すれ違うハイカーが多いので「これは熊の心配もないか!」という気でいた。
獣臭がする?下山道
私が下山時に獣臭を強く感じたのは2,3か所だった。銀冷水と弥三吉水、オホーツク展望のダケカンバエリア。
私は今までありがたいことに熊と至近距離で出会ったことがないので、獣臭なるものがわからないが、強い糞尿みたいな悪臭がした。

カエルもいた。動物が多い森だ
オホーツク展望付近で登ってくるトレランの方とすれ違い、ゆっくり木下小屋方面へ下山した。
Youtube動画では、緊迫した現地の様子やルートの詳細を記録しています。
これから登山を考える方の参考(特に熊対策の意識向上)になれば幸いです。
- 00:00 岩尾別温泉へ。電波なし・トイレ確認
- 00:01 羅臼岳日帰りルートと標高差確認
- 00:01 3時57分 登山開始。木下小屋通過
- 00:02 頂上まで残り5.9km。熊スプレー必須の緊張感
- 00:03 銀冷水と携帯トイレブース
- 00:04 6時40分 羅臼平。岩場の急登へ
- 00:05 日本百名山80座目 羅臼岳山頂!
- 00:06 下山と野生動物の痕跡
- 00:07 温泉とホタテマン。事故ニュースを知って…
下山後の温泉、そして知った「事実」

10時16分、無事に木下小屋へ下山。
岩尾別温泉は観光客がいなければラッキー程度に思っていたが、タイミングよく無人で入れた。
木漏れ日が気持ちいい露天風呂だった。
帰り際にパトカー2台とすれ違う。何か事件でもあったのかなぁと腹を空かせながら知床自然センター向かった。
札幌へ帰る道中

知床自然センターで羅臼岳を見ながら鹿肉ロースト丼を食べる。
道の駅 サロマ湖あたりで親からラインがあり羅臼岳山域でヒグマによる重大事故が起きていたことを知った。
事故の時系列を改めて振り返ると、私が事故発生エリアを通過したのは40~50分前だと思う。
生きた心地がしなかった。

事故発生エリア※知床財団より引用
私もつい下山時にスピードが出てしまうことがあるので、北海道の山では特に注意しないといけないと感じた。
この事故のレポート詳しく知りたい方は知床財団のサイトが事実関係の整理として役にたちます。
【第2報】2025年羅臼岳登山道におけるヒグマ人身事故に関する調査速報
以上、『北海道 知床 羅臼岳登山』の記録でした。
ヒグマによる被害に遭われた方やそのご家族にとって、山や熊という存在がどれほど重いものになってしまったかは想像に難くありません。
本記事は、その痛みを軽んじるものではなく、同じような出来事が繰り返されないことを願ってまとめたものです。
同様の悲しい出来事を少しでも減らす一助になれば幸いです。
