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究極のサバイバル本!『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』

スイカのタネはなぜ散らばっているのか

ただいま京都へ旅行中ですが、今日は『スイカのタネはなぜ散らばっているのか: タネたちのすごい戦略』を取り上げます。

この本は『今年読んだ本』で一番面白い!

読んでいてなるほどと頷いてしまいます。

図書館で借りたのですが、手元に置いておきたくなるような本です。(多分買います。)

こんな人にオススメ!

機能的なデザインの成り立ちに興味のある方。

植物を見たり、育てたりすることが好きな方。

戦略を練ることが好きな方。

著者 稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ) について

1968年静岡県生まれ。
静岡大学農学部教授。
農学博士。
専門は雑草生態学。
岡山大学大学 院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職。
著書に『身近な雑草のゆかいな生き方』『身近な野菜のなるほど観察記』『蝶々はなぜ菜の葉にとまるのか』(いずれも草思社)、
『身近な野の草 日本のこころ』(筑摩書房)、『弱者の戦略』(新潮社)、
『徳川家の家紋はなぜ三つ葉葵なのか』(東洋経済新報社)、
『雑草キャラクター 図鑑』(誠文堂新光社)など。

植物が好きな人にとっては、読みたくなるような本のタイトルですね。

イラスト・西本真理子(にしもと・まりこゆ)

植物の挿絵がわかりやすく、素敵でしたよ。

1955年兵庫県生まれ。
日本植物画倶楽部会員。
神戸大学教育学研究科修士課程修了(美術科 教育)。
兵庫県内の小中学校教諭を経て現在、 岡山理科大学非常勤講師。
NHK文化センター 福山、公民館、植物園等で植物画とフランス語を教える。
著書に『植物画 はじめての彩色レッスン』『花のポートレート 春・夏』
『花のポートレート 秋・冬』『やさしく学ぶ植物画』(いずれも日貿出 版社)など。
また『日本カヤツリグサ科植物図譜』 (星野卓二・正木智美著、平凡社)の絵を担当。

あらすじ

すべての植物は、子孫を残し、繁栄していくために「タネ」に秘密を持っている。

綿毛で上空1000メートルを浮遊するタネ、

時速200キロ超で身から噴射されるタネ、

殻に守られ数千年後でも発芽可能なタネ……。

台所で捨てられるスイカやリンゴのタネにだって、子孫繁栄のための秘密がある。
さあ、種の不思議な世界をのぞいてみよう!
美しい細密画、約60点収載。
※amazon商品説明より

興味があった部分をピックアップ!

『コーヒー豆』の苦味の秘密

コーヒー豆

コーヒー豆の図

コーヒーは「コーヒー豆」から作られる。
ただし、豆とはいっても、ダイズやエンドウなどさやの中にできるマメ科の植物とは異なる。
コーヒー豆もまた、木になる実の中にある種子なのである。
ただし、その形が豆に似ていることから、コーヒー豆と呼ばれている。

コーヒー豆は、アカネ科のコーヒーノキと呼ばれる植物の種子である。
コーヒーノキも、一般の植物と同じように、実の中に種子が入っている。
コーヒーの実は、真っ赤な色をしていて、まるで、サクランボのようなので、コーヒーチェリーと呼ばれている。
コーヒーの実が赤いのは、赤い色を認識する鳥に食べてもらうためである。
そのため、コーヒーの実は食べると甘い味がする。

ところが、コーヒー豆から作るコーヒーは苦い味がする。
コーヒー豆は大切な種子なので、食べられるわけにはいかない
そのため、苦味物質抗菌物質身を守っているのである。

「コーヒーでなく、ココアが好きだ」という人もいるかもしれない。
ココアやチョコレートの原料となるカカオ豆も、コーヒー豆と同じく、木の実の種である。

コーヒー豆とカカオ豆は、身を守るために、同じ物質を持っている。
それが、カフェインである。
カフェインは、アルカロイドという毒性物質の一種で、植物が昆虫や動物の食害を防ぐための忌避物質である。
このカフェインの化学構造は、ニコチンやモルヒネとよく似ていて、同じように神経を興奮させる作用がある。
コーヒーを飲むと眠気が覚めて、頭がすっきりするのはそのためなのである。
コーヒーを飲むと、トイレが近くなってしまう。
それは、人体がカフェインを解毒尿と一緒に体外に出そうとしているのである。

普段飲んでいるコーヒーも、科学的な視点で見ると、明確な理由があるんですね。

僕は一日にコーヒーを2杯飲んでいるので、ある意味、コーヒーに支配されています。

トゲトゲボール『オナモミの実』。

オナモミの実

オナモミの実

オナモミの実を投げた人は多いが、この実を割って中を見たことのある人は少ないだろう。
ラグビーボールのような形をしたものはオナモミの実なので、その中に種子が入っている。
「先んずれば人を制す」ということわざがある。
しかし反対に、「急いては事を仕損じる」ということわざもある。
いったい、どちらが本当なのだろうか、その答えはオナモミの実の中にある。
じつは、オナモミの実の中には、細長い種子が二つ入っている。
やや長い種子は「先んずれば人を制す」とばかりに、早く芽を出す
早く芽を出せば、他の植物よりも有利に成長することができるのだ。
まさに、ことわざのとおりである。
しかし、状況もわからないまま早く芽を出すのは危険すぎる。
除草剤がまかれたり、耕されたりすれば全滅してしまう可能性もある。
そこで、「急いては事を仕損じる」状況に陥ったときに備えて、やや短い種子が遅れて芽を出すのである。

そもそも迅速な方がよいか、慎重な方がよいかは、状況によって変わる。
そうだとすれば、両方に備えておいた方がよい
そこで、オナモミは性格の異なる二つの種子を用意しているのである。
いわば、やや長い種子がせっかちなお兄さん、そしてやや短い種子がのんびり屋の弟といった感じだろうか。
せっかちな兄と、のんびりした弟と、どちらが劣っているというのではない。
それが、オナモミの価値観なのである。

今流行りの二刀流ですね。

トゲトゲボールの中にそんな戦略があるなんてが知らなかった。

この本は、子供の頃に触れたことがある植物が多く登場するので、「今まで気づかなかったこと」が多いです。

正直、植物園に行かなくとも、公園のお散歩で植物の豆知識を語れると思いますよ。

まとめ

この本を読むと、道端に生えている雑草にも存在理由があり、生き残ってきた戦略があることに気づきます。

植物の機能的なデザインデザイナーにとって勉強になるし、生き残る戦略ビジネスマンにとって有効です。

また『オナモミの実』の構造からはリスク分散が窺がえ、まるで投資家のよう。

どのような職業の人にとっても、興味深い内容だと思います。

僕の読書スタイルは斜め読みがほとんどですが、この本はじっくり読んでしまう(笑)

また植物一つ一つにに挿絵があるので、読んでいて飽きないので、ぜひオススメです。

以上、今日は『【書評】スイカのタネはなぜ散らばっているのか: タネたちのすごい戦略』をピックアップしてみました!

花粉がツライ時期でもありますが、この本を読んで植物と向き合ってみてはいかがでしょうか?

明日は朝早く京都・亀岡彼岸花を撮影してきます。

彼岸花にも隠された戦略があるのか確認してこようと思います(笑)。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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