記事内にプロモーションを含む場合があります。

2018年最先端のバイオアート。遺伝子や3Dプリンタを駆使した神分野。

2018年のフランケンシュタイン バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま

表参道で開催されている『バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま』を鑑賞!

なかなか興味深い内容だったのでいくつか作品を紹介します!

JR原宿駅からは徒歩10分くらい。

1階にシャネルコムデギャルソンなどのショップが入ってるお洒落なビルの3階2018年10月14日(日)まで開催中!

展覧会『バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま』の情報

監修者ご挨拶として、以下のような展覧会の説明があります。

本展では「フランケンシュタイン」で提起された問題のいくつかを今日のものとして再考すべく、バイオテクノロジーや生物を使った芸術潮流「バイオアート」の騎手として注目される国内外のアーティストの作品を中心に紹介する。

ゴッホの左耳をDNAを合成して再現するドイツのディムット・ストレーブ

路上のゴミからDNAを抽出し個人の顔を復元するアメリカのデューイ=ハグボーグ

アレキサンダー・マックイーンの皮膚を幹細胞技術で再生しレザージャケットに仕立てようとするイギリスのティナ・ゴヤンクなど日本で初公開となる作品や資料を3章構成で展示する。

それらを通して、フランケンシュタインの諸問題を今日の芸術の3つの文脈ー「死者の蘇生」「人新世」「生政治」ーから読み解くことを試みる。

(髙橋洋介 / 金沢21世紀美術館学芸員)

※GYREのホームページより引用。

僕はiPS細胞3Dプリンタなどの技術に興味があるので、この展覧会は楽しみでした。

日本の上場企業ではサンバイオヘリオス、セルシード、アンジェスを注目してます。

第1章「蘇生」

ティナ・ゴヤンクさんの作品

幹細胞技術

ティナ・ゴヤンクの作品

天折したファッション界の鬼才アレキサンダー・マックイーン皮膚を幹細胞技術で再生し「ファッションの素材」にするプロジェクト《PureHuman》は、2016年にロンドン在住のデザイナー、ティナ・ゴヤンクによって発表された。

まるで人間の皮膚のようなレザージャケットは、マックイーンの体型やホクロ、そばかすや刺青まで豚革で精巧に再現した試作品だが、
実際にDNAを採取し、幹細胞に移植して皮膚をつくることに、マックイーンの《切り裂きジャックが犠牲者たちに忍び寄る》(1992年/作家の髪の毛を編み込んだドレス)の所有者は同意している。

※パンフレットより引用。

ティナ・ゴヤンクの作品はパッと見、普通のレザージャケットなんだけど、よーく見るとタトゥがリアルだったり「皮膚感」があるので怖いです(笑)。

アレキサンダー・マックイーンさんの知り合いが見たら、ぞっとするんじゃないだろうか…。

平野真美さんの作品

平野真美《蘇生するユニコーン》

平野真美《蘇生するユニコーン》

展示室の中央に横たわる瀕死のユニコーンは、本展最年少の平野真美が2014年から取り組む《蘇生するユニコーン》である。

彼女は、神話上の生物であるはずの「ユニコーン」を、その骨格、臓器、血管、皮膚といったさまざまな部位から制作し、まるで実在するかのようにつくりあげる。
進化論は神が人間をつくったという宗教の物語を破壊し、龍や妖怪といったものを迷信に変えたが、平野はあえてその想像上の存在を回復しようと試みる。
瀕死状態から蘇生しようとするユニコーンは、いま失われつつある前近代の魔術性が、合成生物学や人工知能など科学技術が高度に複雑化し、
まるで魔法のようになることで、現代に蘇りつつあることの優れた隠喩になっている。

※パンフレットより引用。

《蘇生するユニコーン》は内臓がグロテスクなのでトリミングしてます。

作り物のはずなのに、生命の痛々しさのようなものを感じました。

作品に感情を移入してしまう、良い作品です。

ディムット・ストレーブさんの作品

ディムット・ストレーブ

ゴッホが切り落とした左耳を生きた状態で復元したディムット・ストレーブの《Sugababe》は、「タンパク質でできた彫刻」であり、話しかけると神経インパルスを模した音がリアルタイムで生成される仕組みを持つ。
2014年のドイツのZKMの展示では、言語学者ノーム・チョムスキーが耳に語りかけるパフォーマンスを行い、その映像がBBCやCNNなどで報道され世界的な話題となった。
父系の玄孫リーウ・ヴァン・ゴッホから提供された軟骨細胞に、母系の子孫の唾液から抽出したミトコンドリアDNAを導入することでつくりだされたゴッホの耳は、
「他者の身体の断片から合成された身体は、たとえ本人と同一のDNAを持つものであっても同じものといえるのか」というフランケンシュタイン的なパラドックスを提示し、逆らえない運命としての「死」の概念を揺るがす。

※パンフレットより引用。

「ゴッホの耳」の作品は一番期待していたのですが、写真やビデオの説明しかないので、正直がっかり…。

コンセプトはすごく面白いんだけど、展覧会の会場に展示してないと、家でYOUTUBE見てるのと変わらない気がする(笑)。

第2章「人新世」

マーク・ダイオンさんの作品

マーク・ダイオンのタール漬けになった鳥の彫刻や奇形化した鳥の写真は、社会の富を増加させるべく科学技術によって自然を支配することが、今日の環境汚染を誘発していることを暗示する。

タール漬けになったバラバラの白い人形の破片は、石炭や石油といった近代の動力に人類が過度に依存していることを象徴すると同時に、
再生医療や原子力発電、仮想通貨のように便利になればなるほど破滅のリスクが膨れ上がる現代の技術の両面に板挟みになっている私たちの状況を隠除する。

※パンフレットより引用。

展示の仕方やライティングが上手なので、美しい作品として見てしまう。

表現方法がストレートで潔い作品です。

AKIINOMATAさんの作品

「girl,girl,girl...」

「girl,girl,girl…」

この作品は、ファッショナブルな女性ミノムシが交互に登場する映像。

「ミノムシがこんなに派手だとすぐ捕獲されちゃうよな」と思いつつ、ずっと見てしまいました。

ファッションブランドの衣服で巣をつくるミノムシを作品化した「girl,girl,girl…」など、人工環境で生きる生物を人間の本質を映す鏡に変えてきたAKIINOMATAもまた人新世の芸術を代表する作家のひとりになりえるだろう。

代表作≪やどかりに「やど」をわたしてみる》は、ヤドカリを3Dプリンタで作られたさまざまな都市の模型に住まわせる作品で、
ニューヨークから東京へ、東京からパリへと引っ越し続けるヤドカリに、移民の問題やグローバル化した世界におけるアイデンティティの問題を読み取ることもできる。

一方で、人工物を受け入れ背負うヤドカリはリテラルに人新世一人間が他の生命を圧倒し、それゆえに自らも絶滅のリスクに晒す時代一を表す優れた隠喩となっている。

※パンフレットより引用。

2018年のフランケンシュタイン バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま

《やどかりに「やど」をわたしてみる》

AKIINOMATA

わかりづらいですが、水槽の中には透明な「宿」が2つあります。

この作品が一番癒されました。また、ヤドが透明で綺麗です。

ヤドカリにとって居心地が良いのかどうかは分かりませんが、宿がスケルトンって落ち着かないだろうな(笑)。

AKIINOMATAさんはツイッターもしてるみたいですよ。

第3章「生政治」

ヘザー・デューイ=ハグボーグさんの作品

ヘザー・デューイ=ハグボーグの《ストレンジャー・ヴィジョンズ》

ヘザー・デューイ=ハグボーグの《ストレンジャー・ヴィジョンズ》

街角に落ちている髪の毛タバコの吸い殻からDNAを採取し、
落とした本人の顔を復元するヘザー・デューイ=ハグボーグの《ストレンジャー・ヴィジョンズ》は、自分でも気づかぬうちに周囲に撒き散らしているDNAから、性別、祖先、目や髪の色といった外見の情報、将来の病気のリスクなど、ときに本人さえも知らない個人情報を引き出せることを2012年に示唆した。

この技術は、「DNAスナップショット」と呼ばれる犯罪捜査ツールとしてアメリカの国防総省の開発支援の元、既に実用化されており、その意味では、DNAによる監視と遺伝子決定論に支配された未来の「生政治」は現実のものとなりつつある。

煙草の吸殻や、拾った場所が写真で展示。

顔がリアルで驚きます!

以前この作品で再現された人たちは、みんなスキンヘッドで表現されていたので、異様な光景でした(笑)。

再現性としてはどうなんでしょうかね?

歌手のマドンナは、楽屋を明け渡す前に、毛髪を一本も残さぬように専任のチームに洗浄・清掃させてる噂です。

リスクヘッジを考えているのか気になります。

アーティスト集団・BCLの作品

《BLP-2000B:DNAブラックリストプリンター》

《BLP-2000B:DNAブラックリストプリンター》

3本の注射器の中に血液が入っています。

2018年にBCLが発表した《BLP-2000B:DNAブラックリストプリンター》は、人間はそもそも科学技術を制御できるのかという根本的な疑問を投げかける。

パンデミックを起こす危険性を持ったウイルスの塩基配列などバイオ企業が合成を禁止しているDNA配列のみを作成して印刷する本作は、

ゲノム編集などの登場によって生命を簡易かつ安価に編集できる現状が誰でも生命科学の発展に貢献できる可能性を開くものにも、

新たなバイオテロの引き金にもなり得るというジレンマを提示し、どのような未来を選び取るべきかという議論を促す。

この作品を展示してある部屋は、気のせいかヒンヤリとしていて独特な雰囲気でした。

実際にレシートほどのロール紙にDNA配列が印字されていきます。

このアーティスト集団「BCL」、調べてみると過去に、架空のキャラクター「初音ミク」のDNAを組み込んで細胞を展示しちゃってるみたいです(笑)。

初音ミクの外見上の特徴を記したDNA配列データ「iPS細胞」に組み込み、そこから作り出した心筋細胞を展示。

なかなかぶっ飛んでます。

ここまでくると生命ってなんだ?ってなっちゃいますね。

以上、今日は『バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま』をピックアップしてみました!

10月14日(日)まで、 11:00ー20:00  無休ですよ!

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました!

合わせて読みたい美術展の記事はこちら♪

私の絵の販売はこちら(^^)/

シェアしていただけると励みになります

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする